『虫まる』“愉快なお墓”へ行く!

そのC 【サプンツァ】

陶器市で出会ったおっちゃんに会えるかも、という期待を胸にやって来ましたサプンツァ。ここはルーマニア北西部、ウクライナとの国境沿いにあるシゲット・マルマッツィエイ≠ニいう街から18kmのところにある、サプンツァという村です。ここには「愉快なお墓」という観光名所があります。先にも述べたとおり、「愉快なお墓」は1935年にイオン・スタン氏が故人の生前の生活を木製の墓標に描いたことに始まりました。(作家さんのサインもスタンさんという苗字の方が多いです。もちろん、それ以外もありました。)当時の識字率の問題もあり、スタン氏はお墓参りに来た人に、「嘆き悲しむよりこのお墓を見て楽しく故人を思して欲しい」と考えていました。この考えは地元の人々に受け入れられ、現在も「愉快なお墓」が作られているのです。サプンツァの村人は、「愉快なお墓」によって外国から多くの人が訪れるのを歓迎しています。故人の墓標を見て笑うことは一見失礼に思えるかもしれません。しかしスタン氏の考えからも、笑いこそが故人に対する最大の供養になるのです。半分は木製ですので木が腐って読めませんが、今からご紹介する墓標はほんの一部です。これを見た方が、愉快だと思って下さる事を願っています。


【サプンツァ1】

【サプンツァ2】

【サイン】

・『林業』
最近の傾向なのか、新しいものは表裏両面に絵が刻まれ、表側が生前の職業≠ナ裏側が死因≠ニ大変分かりやすいです。写真は林業を生業としていた方です。そして死因は作業中に木が倒れてきて亡くなったものと思われます。林業関係のお墓もわりと多く、春夏用の帽子もルーマニアの田舎ならでは。そして黒字に青ポケットのベストは作業着としてマラムレシュに普及しています。


【林業1】

【林業2】

・『おばちゃん職業ベスト4』
おばちゃんの職業ベスト4はコレ!
@糸つむぎ(ホント多い!)
A機織(糸つむぎの後です)
B布なめし(機織りの後です)
C料理しているところ。
女性は大部分がこのタイプでした。お墓の絵は基本コレで、多少小物が違う程度です。既婚女性は頬かむりをして、作業着ベストに、襟周りと袖口に赤や青の刺繍が入った民族衣装を着ています。そしてルーズソックスに皮をなめして紐を通しただけの靴!スカートの基本は黒で、小花柄が入ったものが大変おしゃれなのです。


【@糸つむぎ】

【A機織】

【B布なめし】

【C料理しているところ】

・『おっちゃん職業ベスト6』
@羊飼い関係(他にも乳製品加工・毛皮刈りなど)
A果実摘み(りんごなど)
B小型特殊(林業です)
C楽師(バイオリンなど)
D炭鉱夫(近場の炭鉱に出稼ぎ)
E軍人(兵役あります)
やっぱり基本は民族衣装!男性も赤い刺繍の入ったシャツを着ます。大ガマも農作業には欠かせないアイテムです。A位の方はデカイですね〜(笑)作家さんの本業は木製品加工業であって、画家ではありませんから、このようなかわいいマンガ絵になるのです。立体的に掘り込んで彩色までするのですから、大変な作業です。B位は良くある図で、運転手の服装が微妙に違ったりします。


【@羊飼い関係】

【A果実摘み】

【B小型特殊】

【C楽師】

【D炭鉱夫】

【E軍人】

・『交通事故』
小さな村ですが案外多いです。ルーマニアの車は、田舎なのでめちゃめちゃ飛ばします。地平線に一本道があれば、グーっと踏んでしまうのです。ですから、死亡事故が多発…女性は轢かれることが多く、男性は運転手となって事故死した絵が主でした。@の少女はまたデカイです。Aの方は年代からいうと3歳のはずなのですが…


【交通事故1】

【交通事故2】

【交通事故3】

【交通事故4】

・『子供』
墓標のサイズも小さくなります。@の子供さんが持っているのは花でしょうか?キャンデーでしょうか?未婚ですが、田舎のほうではバティックを被ってもおかしくありません。子供の色は赤ですのでスカートも華やか。古いので多少恐くなってしまっています。Aは赤ちゃんです。生まれてすぐ亡くなった場合はこうした天使の絵になります。女の子もありました。


【子供さん1】

【子供さん2】

・『公務員』
これだけ民族衣装の墓標がある中で、逆にスーツ姿は目立ちます。おそらく先生と役場の職員さんでしょう。


【公務員1】

【公務員2】

・『その他変り種』
@牛の検査をする方?
A郵便局員さん
Bこれは…役場の職員が生前バックギャモン(ボードゲーム)ばかりして遊んでいたという事でしょうか…(笑)
Cバーテンさん。こんな小さな村にBARがあるのは驚きです。
Dあぁ、終点シゲットの駅に入る電車は1日に限られているでしょうに…線路でローラーブレードは危険でした。


【変り種@】

【変り種A】

【変り種B】

【変り種C】

【変り種D】

・『魔法使い』
訪れた日は日曜日の午前中、生憎の雨でしたが教会にはミサの為に続々と集まってくる魔法使い?です、すごい。ドラクエだ。皆同じに見える…。写真のおばあさんは別人です。ストッキングの色が違うでしょ?よく見ると、黒でも小さな水玉だったり、裾にラインが入っていたりとおしゃれにも気を使っているのです。


【魔法使い1】

【魔法使い2】

※結局スタンさんにはお会いできませんでした。それに、定番だと聞いていた大酒飲みの墓標はひとつもなかった…。紹介させて頂いた墓標を含め、サプンツァに眠る全ての方のご冥福をお祈りいたします。
(入場料40,000lei、カメラ50,000lei他)